Williamson, Philosophy of Phisolophy(2007) 6章
Williamson, Philosophy of Phisolophy(2007)
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6 Thought Experiments
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6.1
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Of all the ...
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- 安楽椅子的手法のなかでも,思考実験はとりわけ怪しい.
- 自然科学を考えよう.ある理論について,ある決定実験で否定的な結果を得たことを想像した場合,
- 問題の理論が否定されることを想像したことにはなるかもしれないが,
- 問題の理論が否定されたことにはならない.
- なんで哲学の場合は,想像上の実験で,問題の理論が実際に否定されたことになってしまうのか?
Such an objection ...
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- 上記の思考実験批判はもちろん皮相的でしかない
- 自然科学でも思考実験によって理論を否定することがある
- Galileo(物体は重いほど速く落ちるか),
Eistein(光速で進む船の中で光を見たら,自分が光速で進んでいることがわかってしまうか)
- 哲学の思考実験はぜんぜん違うだめなもの,とは考えない
- 反事実的条件文の評価の際には,想像力が重要な役割を果たしていることをすでに見た
- 日常的で経験的な反事実的条件文にも,形而上学様相言明にも果たしている
- 思考実験にも,想像力がこれに対応する役割を果たしていることを示そう.
The canonical example ...
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- 思考実験の模範例として,Gettierの思考実験を考えよう.
- 知識を,正当化された真なる信念として分析する伝統的な立場を否定した
- 大成功した
- 社会学的に見ても興味深い
- それまで何の業績もなかったGettierが,認識論の中心概念の分析として広く受け入れられていたものを攻撃した
- ほとんど一夜にして,分析系の認識論者たちに受け入れられた
This chapter analyzes ...
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- この6章では,Gettierの思考実験の論理的構造を分析する.
- ここの議論は,Gettierの思考実験に似た想像上の反例であれば,その多くに一般化できる.
- この章の主要な目的は,思考実験と知識との関係の理論を,ここまでで説明した理論で包摂できると示すこと.
- 反事実的条件文と知識との関係の理論と,
- 形而上学的様相と知識との関係の理論とでもって包摂する.
- こうすることで,思考実験と知識との関係の理論は,ごくふつうの思考法の適用にすぎないと示せる.
- 特別に哲学的な思考法を使っているわけではない.
- この章の派生的な目的は,思考実験を下支えしている議論の構造を理解すること.
- これができればそれ自体よいことだし,
- 思考実験による説明全体を細かく確認することもできる.
6.2
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We can extract ...
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- まず,Gettierの議論を,明示的には思考実験に訴えない形で取り出す.
- 問題となる分析によれば,何かを知っているということの必要十分条件は,
- それが真であり,
- そのひとがそれを信じており,
- そのひとがそれを信じるに際し正当化されていること.
- まとめて言えば,そのひとが 正当化された真なる信念(JTB)
を持っていること.
- Gettierはまず, 正当化された信念 だけでは足りないと言う.
- 偽なことでも,信じるに際し正当化されていることはありうるから
- 次に,正当化された前提から演繹される命題は,そのひとにとって同じく正当化されている,と言う.
- 演繹とは,前提から結論への正当化の伝染プロセス
- さて,偽なる命題から真なる命題が妥当に演繹されることはありうる.
- したがって,
- 信じるに際し正当化された偽なる前提から演繹した結果,
- 信じるに際し正当化された真なる帰結を得て,それを信じている,ということはありうる.
- そのとき,そのひとはこの帰結について,JTBを持っている.
- しかし,この帰結は,本質的には偽なる前提に基づいている.
- したがって,そのひとがこの帰結について,それを知っているとは言えない.
- したがって,JTBは知識の条件として十分ではない.
One disadvantage of ...
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- この思考実験なしverの議論の欠点は,いくつかの前提を使っていること.
- 「偽なる信念に本質的に基づく信念は,知識を構成しない」
- 「正当化は,演繹のもとで閉じている」(前提から帰結に伝染する)
- 「偽なる命題を信じることが正当化されることがある」
- 例に訴えずに,この前提を適切に擁護するのは難しい.
- Gettierの関心としては,反例を1つ示せればよい.
- 個別例は,一般的診断より優先する
Gettier's assumption that ...
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- 実際,正当化された偽なる信念がありうるというのは,異論の余地がないわけではない.
- 知識を構成しないような信念にはそれ自体欠陥があって,何らかの点で正当化を欠いている,とも言える.
- また,正当化概念が知識概念を参照しており,循環が生じるのでは,という議論もある.
- もしそうだとすると,知識をJTBで分析してもあまり説明力がないかもしれない.
- ここでは,偽なることを信じるに際し正当化されている,というのを認めることにしよう.
- この前提は,反対者も受け入れるだろうという点で,対話的に見て適切.
- この立場は,水槽の中の脳も,自分に手があることについて正当化されている,というのを認める立場.
Gettier presents his ...
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- Gettierが挙げた反例は,どれも次のような特徴がある
- 虚構的
- 現在時制
- 直説法
- 固有名の虚構的仕様
- "Suppose that"で囲まれている
- 今回は,こうした特徴は重要視しない.
- これと同じパターンに基づいて,以下のような例を作ってみよう.
``オーランドーさんは高値を出して、かつてヴァージニア・ウルフが所有していたという本を古本屋から購入した。 オーランドーさんは「自分がかつてヴァージニア・ウルフが所有していた本を持っている」と信じている。 さらにそれには古本屋の証言という根拠もある。 ところが、この古本屋は詐欺師であり、この本はヴァージニア・ウルフとは何の関係もないものだった。 ところが、オーランドーさんの蔵書のうち、古本屋から買った件の本と別の本が、 偶然にもヴァージニア・ウルフがかつて所有していたものだった。``
- オーランドーさんは正当化された根拠があって信じたので,正当化された信念を持っていることになる.
- そして、「自分がかつてヴァージニア・ウルフが所有していた本を持っている」というオーランドーさんの信念は,(その根拠が偽なこととは特に関係なく)真.
- この例でオーランドーさんはJTBを持っているが,知識を持っているとは言えない
- では,こういう虚構的な語りが,どうして哲学的分析に反例を提示したことになるのだろうか?
> なお,オーランドーさんはウルフの小説 *オーランドー*
の主人公.360年生きる.
On Gettier's account ...
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- Gettierの説明では,問題の分析は,知ることについての必要十分条件の主張である.
- これは(1)のように定式化できる.
``(1) □∀x∀p( K(x,p) ≡ JTB(x,p) )``
- 「xはpと知っている iff. xがpというJTBを持っている,
——ということが,どんなxやpをとっても,必然的に成り立つ.」
- ここで,Gettierの提示した物語における単称名辞は虚構的なので,物語が命題を主張しているように見えるとしても,それは単にふりにすぎない.
- しかし,こういう単称名辞を,変項として読んでもいいはずだ.
- Gettierケースが成り立つということを,GC(x,p)のように形式化しよう.
- xは信じているそのひと,pはJTBの内容.
- ここでは,主張が虚構的なのに目下の議論に関係する理由は,文字通りの主張として理解したときにはちゃんと関連するからだ,と考えておく.
- 今回は,物語の虚構的な側面はあまり重視しない.
- さて,Gettierの議論は以下のように進む.
- Gettierは物語によって,(2)を主張した. ``(2) ◇∃x∃p GC(x,p)``
- 「何らかのひと x と,何らかの命題 p
とがGettier的関係にある,ということは可能である」
- さらに,Gettierは物語の評価として,(3)を主張した.
``(3) □∀x∀p( GC(x,p)→( JTB(x,p)&¬K(x,p) ) )``
- 「ひとxと命題pとがGettier的関係にあるならば,ひとxはpなるJTBを持っているのに,pを知ってはいない,
——ということが,どんなxやpをとっても,必然的に成り立つ」
- 前提が可能なら,その必然的帰結はやはり可能になるので,
- GC(x,p)が可能ならば,(つまり(2)ならば,) JTB(x,p)&¬K(x,p)
は可能なので, \`\`\`\`
(4) ◇∃x∃p( JTB(x,p)&¬K(x,p) ) \`\`\`\`
- (1)と矛盾する帰結が得られたので,(1)を棄却する.
This objection to ...
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- ここで,(1)を棄却する議論が,(1)が様相的内容を持っていることに本質的に依拠していることに注意.
- (1)が単なる全称量化の双条件文だった場合,(2)のような他の可能世界での例を出しても,矛盾は起こせない.
- (現実世界についてのみの主張だった場合,他の可能世界で何が起きても関係ない)
- 思考実験が棄却できるのは,様相的主張だけ.非様相的主張は棄却できない.
That (3) is ...
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- Gettierの物語の評価を,(3)のように定式化するのが最適かどうか考えてみよう.
- 哲学では,例が詳細に至るまで完璧に記述できることはほとんどない.
- しかしその詳細の部分で,へんなことが起きている場合だってあるだろう.
- たとえばGettierケースの記述どおりではあるものの,偽なる信念 q
から真なる信念 p
を演繹したとき,そいつがそれをきっかけにして何かの記憶を取り戻したとして,そのため
q を疑いはじめたというような例.この場合, q
の正当化は失われるかもしれない.
- だが,特にそれが問題になるのでないかぎり,こういう細部があるとはふつう考えない.
- へんな世界があることを,物語の評価の際にふつう考えないということは,物語の評価の定式化として,(3)のように必然性をかけるのはまずい(厳密含意になってしまい,強くとりすぎている).
- A 厳密含意 B は, □(A → B)と同値.
Instead of asking ...
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- すべての世界ではなく,Gettierケースが起きた近接世界だけ考えるようにしたい.
- 反事実条件的条件文を使って,よけいな世界を無視した形で定式化しよう.
``(3*) ∃x∃p GC(x,p) □→ ∀x∀p( GC(x,p)→( JTB(x,p)&¬K(x,p) ) )``
- あるx,pについてGC(x,p)が成り立った世界では,GC(x,p)のときJTB(x,p)だがK(x,p)でない,と言える
Let us reconstruct ..., We can make ...
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抽象化するとこうなる.つまり,
::
A:∃x∃p GC(x,p)
B:∀x∀p(
GC(x,p)→(
JTB(x,p)&¬K(x,p)
)
)
C:∃x∃p( JTB(x,p)&¬K(x,p) )
とおけば, ``(2a) ◇A (3*a) A □→ B (4a) ◇C`` と書ける.
この定式化のもとで,
``(2a), (3*a) |= (4a) つまり ◇A, (A □→ B) |= ◇C``
が得られれば論証成功.
さて,Cは明らかにA,Bの論理的帰結なので, ``A, B |= C``
ここで,CLOSURE公理を使って, \*
(ある前提のもとでの反事実的帰結は,論理的帰結のもとで閉じている,という公理)
::
A□→A, A□→B |= A□→C
- REFLEXIVITY公理より,A□→Aは論理的真なので, ``|= A□→A``
したがって, ``A□→B |= A□→C`` \*
さて,POSSIBLITY公理(p.156)を思い出すと,
``(POSSIBLITY) (A □→ B) → (◇A → ◇B)`` だったので,
::
(A □→ C) → (◇A → ◇C)
が得られ,ここから ``(A □→ C), ◇A |= ◇C``
が得られる.これをさっきのA□→B \|= A□→Cと組み合わせると,
``(A □→ B), ◇A |= ◇C つまり ◇A, (A □→ B) |= ◇C``
論証できました.
This account of ...
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- 創造的反例を使って哲学的分析を棄却することをこうやって説明すれば,Gettierケース以外にも適用できる.
- 必要十分条件だけでなく,必要性だけの一方向の主張にも適用できる.
Preview: Section ...
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- 次の3節で,いま分析した議論が知識とどう関係するのかを調べる.
- 4節では,反事実的条件文の定式化として(3\*)が適切だったのかどうか調べる.
- 5節では,定式化に際し適切な反事実的条件分を選べたのかどうか調べる.
- 6節では,Gettierの議論がほんとうに反事実的可能性について気にしていたのかどうか考える.
6.3
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On our account, ..., The major premise (3\*) ...
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- ここまでの説明で,思考実験とは,妥当な様相的議論で,様相的帰結を導くことだとわかった.
- ここで想像力は,様相的議論の諸前提を確認する際に役立っている.
- 大前提である(3\*)は,反事実条件的条件文である.この真偽の評価に想像力が使われている。
- (3\*)が正しいかどうかを考える際に,日常の反事実的条件文を評価するときと同様,想像力が使われる.
- 前件と後件との関係は,概念的つながりではない.
- もし概念的つながりだったとすれば,(3\*)より強い(3)も帰結できてしまう.
- 英語話者で,"know"の意味については一致するが,前件と後件との関係についての評価が割れる.つまり概念だけ知っていてもつながりがわからないことがある.
- この不一致の理由は言語の不一致ではない.
- 同じ言語,同じ文化でも,個人ごとに評価が変わることがある.
- 一方で,哲学に慣れているひとどうしでは,評価がおおむね一致する.
- "know"の意味を知っていることよりも重要な能力が備わっているから.
- それは,周囲のひとびとを,何かを知っているかそうでないかに振り分けるという能力.
- この振り分けを,想像力をオフラインで使用して行えれば,(3\*)の評価は一致する.
The minor premise (2) ...
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- (2)は可能性言明.
- Gettierケースにおいて,(2)の成立は当然視されている.
- 「Gettier直観」と呼ばれて問題にされるのも,(3\*)を信じるという直観.
For the other ...
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- Gettierケース以外だと,(2)のほうが疑わしいこともある.
- 脳交換などのSF的な状況設定の場合,そもそもそんな状況が可能なのかどうか,すぐには受け入れられない.
- 一般的に言って,(2)の受け入れやすさと(3\*)の受け入れやすさとはトレードオフ.
- 状況を簡単に描けば(2)は受け入れやすいが,(3\*)の評価は難しくなる.
- そういう状況で何が起きるか想像しづらい.
- 状況を詳細に描けば(2)が受け入れづらいが,(3\*)の評価は簡単になる.
- そういう状況がそもそもありうるのかを,想像力で判定しづらい.
- うまいことバランスさせて,(2)も(3\*)もそこそこ評価しやすいような例を作ることが不可能なわけではない.
Do we know ...
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- (2)や(3\*)をアプリオリに知ることはできるだろうか?
- それは(4)がアプリオリに知られるということと同値だろう.
- しかし,前章でアプリオリ・アポステリオリの区別を捨てたんでしたね.
- 証拠がenabling roleを果たすのか,evidential
roleを果たすのかを見るようにした.
- (3\*)の評価に際しては,私の過去の感覚経験が使われるが,
- 感覚経験は(3\*)で言われている概念を理解する機会を与えるというenabling
roleを果たすだけでなく,
- もっと直接的な役割も果たす.
- 想像上の例で,正当化された偽なる前提から推論した真なる帰結に,正当化が伝染するかどうかの判断には,過去の感覚経験が使われる.
- とはいえ厳密なevidental roleを果たすわけではない.
- (3\*)を評価する際に,知識がないひとを振り分けた過去の感覚経験をいちいち思い出す必要はない.
- また,(3\*)の知識は,アポステリオリな知識とも言えない.
- 思考実験を行うという経験それ自体は,感覚経験とはふつう思われないから.
One manifestation of ...
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- 過去の感覚経験が思考実験の評価に効いているということが現れるのは,文化間での評価の違いかもしれない.
- 言語上の意味が同じ=概念が同じでも,別の文化ということはありうる.
- 例えば「正義」「進化」について,意味については一致していても評価が違うことはある.それと同じ.
- 同じ文化内でも個人どうしで評価が変わることもあるが,それでも1つの文化ではある
Much of the ... , We should not ..., The residual levels ...
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- 訓練した哲学者が思考実験の評価について一致するというのも,似通った過去の経験(つまり哲学の訓練)をしているからかもしれない.
- しかし,これは哲学の訓練が不当にデータを汚染してしまっているわけではない.
- 哲学的に素朴なままでは,ありがちな失敗にすぐはまってしまう
- 専門家でないとうまく実験してデータをとれないのは科学者と同じ
- 哲学者のあいだでも,思考実験の評価についてもちろん不一致はある.
- だが懐疑論に陥るにはおよばない.
- 哲学の議論というのは,そもそも同意点よりも対立点に重きを置くもの.
- またたとえば,目撃証言というのは食い違いがちだが,だからといって知覚を知識の源泉とするのはやめましょうというのはばかげている.
This account has ..., What is striking ...
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- 過去の経験から思考実験を評価するのと,現実の生活で反事実的条件を評価するのとは地続き.
- Gettierケースを現実に構成できるのがその証拠.
- PowerPointでうまく講義できたためしがない例(実際には,そもそもPowerpointで講義したことがない)
- 現実に構成したGettierケースは,(1)の非様相ver.への反例になっている.
- 現実のGettierケースを構成しても,反例としての役割は想像上の例とまったく変わらない.
It might be ...
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- 現実のGettierケースからの演繹は,非様相的な例から様相的な帰結を引き出しているが,これも問題ない.
- なぜなら,(2)は非様相版だが,(3\*)は依然として様相言明なので.
- ただし,この分解には別の問題がひそんでいる.
- あるケースについて,非様相的な前提と,様相的前提とに分けたとしよう
- これはFの例である(非様相的)
- もし仮に何かがFの例であれば,それはGettierケースである(様相的)
- このとき非様相的な前提のほうに,演繹への分解が同様にできてしまうのでは?
- これはEの例である
- もし仮に何かがEの例であれば,それはFの例である
- これでは無限後退になってしまう
- だが,実際には無限後退のおそれはない.
- 我々はこの後退のどこかで,非様相的前提を分解せずに受け入れることができるから.
- 単に概念を適用することによって.
おまけ 6.3までで使った定式化のリスト
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(1) □∀x∀p( K(x,p) ≡ JTB(x,p) )
(2) ◇∃x∃p GC(x,p)
(3) □∀x∀p( GC(x,p)→( JTB(x,p)&¬K(x,p) ) )
(4) ◇∃x∃p( JTB(x,p)&¬K(x,p) )
::
(3*)∃x∃p GC(x,p) □→ ∀x∀p( GC(x,p)→( JTB(x,p)&¬K(x,p) ) )
::
(REFLEXICITY) |= A □→ A
::
(POSSIBLITY) (A □→ B) → (◇A → ◇B)